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家族で散歩

​継承語とは?

1.継承語/Heritage Language とは?

継承語とはその国の地域・教育システムの主要言語ではなく、
家族や所属するコミュニティで使われる言語、家族のルーツの
言葉です。
家族のルーツの言葉という意味で、継承語は第二の母語と言い
換えることができるかもしれません。
異言語環境で言語形成期を過ごす子供の言葉は、母語と
外国語という分け方より、「継承語」と「現地語」という
概念で表す方が適切です。

「継承語」:親から受け継いだ言葉
「現地語」:子供の育つ環境で毎日使う言葉

 

  • 両親の母語がそれぞれ現地語と別である場合など、
    複数の継承語を持つ場合もある。

  • 世界中で様々な言語が継承語として学ばれている。


2.国語教育・外国語教育との違い

【国語の習得】
家庭・学校・社会の中で言葉のシャワーを浴びながら
絶え間なく習得します。

  • 基文型は幼児期から学齢期に習得

  • 場面に応じた言語の使用は家庭・社会で習得

  • 読み書き・読解・成人としての言語力育成は学校で習得


【外国語の習得】
学習開始時にゼロから出発します。

  • 発音・文法・語彙・文化までを系統的に教室で学習

  • 自然習得の機会は限定的

     

笑顔の家族
一家団欒

3.継承語教育の教育的意義と目的
 

  • 両親・親戚とのコミュニケーションの為。また、親が現地語に
    堪能でない場合、親子間・社会とのコミュニケーションに必要
    不可欠な役割を持つ。

  • 自らのルーツへの誇り、またルーツ文化の保持。

  • 子供の成長過程での情緒安定やアイデンティティ形成に深く
    関わり、教育的意義は大きい。

  • 親の言葉であるがゆえ、受け継いで欲しいという親の希望。


4.継承語の課題

生活の中での継承語の優先順位:
言語としての継承語の社会的認知度により、その価値づけは異なり
ます。生活の中では主要言語が常に優先されるため、継承語と主要
言語との社会格差が大きいほど、継承語の優先順位が下がります。
学習者がいかに継承語の学習に価値を見出せるようにするかという
ことが継承教育の課題です。

親の選択:
継承語は親の選択で始まります。親が子供に受け継いでもらいたい
言語であり、どう子供の学習意欲を育てるかが課題です。実際の
授業では教える側の技能や工夫が必要とされるとともに、家庭に
おける
日本語母国語話者である親の積極的な学習サポートが不可欠
になります。

アンバランスな語学力:
家庭での使用がベースになる継承語は、話す・聞くの対話面は発達
しても、認知力を必要とする読み・書きの言語面の発達は遅れます。
この語学力のアンバランスをどうバランスのとれたものにしていく
かが課題です。

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